まろやんの徒然猫草

草紙といえる程のものでも無い道端の猫草ですが、その時々の興味があることを書き連ねていきます。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第8話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第8話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

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第8話は海水浴回ですが、バアルとよしのが険悪な雰囲気になって互いに感情が高ぶったり…とちょっと重めの内容です。ただ普段はワイシャツ姿ばかりのバアルですが、珍しくカジュアルなTシャツとパーカー(と腹筋)姿を拝める貴重な回でもあります(笑)

 

始まりはよしの13歳の回想シーンから。 

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愛情深いけど能天気で大雑把な両親の性格(※)を引き継いだと思われるよしのですが、バアルとの生活では天真爛漫な振る舞いのそれらが素ではなく、物事の核心から目を背けていたのだという事が分かるシーンですね。

(※よしののしつけがなってない[第1話]他、赤ちゃんよしのが夜中泣き続けても目を覚まさない[第15話]、将来天才少女になるのではと楽観し、赤ちゃんよしのの好みではない知育玩具を買おうとする[第3巻:コミックシーモアおまけ3Pまんが]等のエピソードより推察)

 

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場面が変わり現在の海水浴場に。大学の友人達と来るはずが全員体調の都合でドタキャンになり、代わりにバアルと来る羽目になったよしの。けれどもバアルは周りに無数の女子を侍らせていてよしのは全く面白くありません。

イライラを募らせているよしのですが、八つ当たり気味に齧っている棒アイスもバアルに買ってこさせたもの。しかも希望していたアイスクリームじゃなかったと文句を言っていますが、自分でアイス一つ買いに行かない(行かせてもらえない?)のは相変わらずのお姫様っぷりですね。バアルが買い間違える気はしないから、もしかしてアイスクリームは売り切れだったのかも。

 

こういうエピソードで「よしのは自立してないから嫌い」と考える方もいるかも知れませんが…第2巻の特典ペーパー「この ねがいは、あくまに。」を見てもバアルがいかに過保護かが分かるので、よしのが自立する隙も与えられなかったと思えます。

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13歳のよしのが部活で毎日遅くなる事すら心配して学校にいちゃもんをつけるモンペ(笑)

さらによしのが自分以外に"お願い"するなど言語道断と、流れ星に嫉妬心を剥き出しにするバアルかわいいよバアル。

 

 

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おねーさん達と楽しそうにしているバアルを見て気持ちがささくれ立つよしの、さらに周囲を見渡せば楽しそうなカップルや親子連ればかりで、普段抑え込んでいた感情が溢れ出そうになります。その感情とはよしのの本当の望みである「結婚して家族を持ち、幸せな家庭を築くこと」ですが、バアルといる限りその願いは一生叶いません。

バアルのおかげで一見何不自由ない日常生活を送れているよしのですが、代わりに自分の一番欲しいものを奪われ籠の中の鳥として一生暮らさなければならない。

溢れそうな気持ちを抑えきれずバアルの元から離れるよしの。よしのに焼きもちを焼かせて気を引こうとしていたバアルですが、そのさじ加減を誤り失敗した事に気づきます。

 

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全く楽しめない今日と引き替え、以前両親と来た海は楽しかったとバアルに苛立ちをぶつけるよしの。そんなよしのに肉体と魂の契約をすれば両親を生き返らせることが出来る、よしのなら永遠の若さだって与えられると持ち掛けるバアルですが、人の理に反する願いは望まないとよしのはきっぱり断ります。

かつて数多の聖人君子をも堕落させてきたバアルの誘惑にもなびかないよしのの発言に、バアルも驚きを隠せません。

このシーンで、今まで甘ったれで我儘なイメージだったよしのの印象が変わります。美しい魂と心は比例しないと以前バアルは言っていましたが、それでもよしのは魂だけでなく強く美しい心を持った人間であることが伺えます。

 

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久しぶりの海を全く楽しめず、早々に家路を急ぐよしの。途中でショーウィンドウに飾られたウエディングドレスを見つめるよしのにバアルは顔をしかめます。バアルにとって結婚という行為自体が忌むべき不快なものであり、よしのに触れさせたくない話題でもあるからでしょう。

ちなみにこういったバアルのウエディングドレス・結婚に対する態度を踏まえたうえで第21話の最終ページを見直すと、これだけ拒否反応を示していたバアルがあんな台詞を言うなんて…と感慨深いものがあります。

 

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借り物を返そうとよしのの自宅前で待ち構えていた旭君と、それを牽制するバアル。このシーンは完全にシリアスでおそらく笑いの要素は込められていないと思うのですが…バアルが旭君に言い放った「ストーカーみたいで怖い」の発言が「いやそれあんたが常々よしのに言われてるセリフだろ!」と突っ込まずにはいられませんでした…w

 

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すっかり険悪な空気になってしまったよしののご機嫌を取るため、ケーキの箱を差し出すバアル。第7話でも少し描かれていましたが、甘い物でよしのを釣る方法をバアルは心得ていますね。

ちなみにこのケーキはタカノフルーツパーラーで有名な新宿高野いちごショート(税込648円)のようです。

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よしのが自分だけ歳を取る将来を憂いた発言に対して「安心してお年を召してください」と真顔でとんでもない発言を返すバアル。ここは意図的なコメディシーンなので安心して笑えます。すごい、逆になんかすごいです(笑)

そして大好きなケーキを貰い、来年こそは楽しい思い出を作るからまた海に行こうと言われてようやく機嫌を直すよしの。

やっと険悪な雰囲気も無くなりまたいつもの日常に戻ったように見えますが、それでも互いの心の奥底に蓋した感情を忘れることはできませんでした。バアルはよしのの幸せを願う周囲の人間達の声について、よしのは叶うことのない本当の願いについて思いを馳せつつ夜は更けていきます。

 

以上、第8話での諸々ポイントでした。次回はまた理想の上司が登場ですね。