まろやんの徒然猫草

草紙といえる程のものでも無い道端の猫草ですが、その時々の興味があることを書き連ねていきます。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第11話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第11話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

 

第11話。10月になって大学の後期授業も始まりましたが、ここ数か月の旭君の異常なやつれぶりの原因をようやくよしのが知るところとなります。怒り心頭のよしのはバアルにそのことを問い詰めますが…。

 

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芸術祭以降どんどん対価がエスカレートしていくバアルは、強くよしのを求めるあまり魂無しの貞操のみで何でも願いを叶えるとまで譲歩します。それでもよしのは決して首を縦に振らず、その頑なな態度にバアルは苦悶の表情を浮かべます。

(無自覚とはいえ)惚れた弱みでバアルは大きく値引きしてきましたね…ここで対価のディスカウントが生じたことは、この後のストーリー進行上大事な転換点かも知れません。仮に値引き無しで今回の話が進んだ場合、よしのにとって魂が奪われるリスクと恐怖がある限りは話の筋がぼやけそうですし。

 

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大学の後期授業が始まり旭君と再会したよしの。けれど芸術祭の時以上に痩せ細った旭君を見て、よしのや彼の友人達もその異常さに戸惑います。そんな旭君を心配する友人の発言で自分とバアルがその原因なのだと気づいたよしのは、空き教室に二人きりで旭君から詳細を聞き出します。

ここで旭君に思いを寄せるボブカットの女子が登場です。旭君は話の流れ上当て馬キャラとして非常に辛い思いをしているので、この後彼が彼女と幸せになるのがせめてもの救いですね。

 

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バアルがよしのに性的虐待をしていたのではないかと、長い間旭君が悩み続けていたことを聞かされたよしの。悪夢にうなされ身をやつしながらも純粋によしのの事を心配し続けてくれた旭君に対し、死んだ両親以外でここまで親身になってくれた他人はいなかったとよしのは涙します。

その涙に引き寄せられるようによしのを抱きしめ思わずキスをする旭君。彼のような優しい人が自分の恋人だったらどんなに良かったかと叶わぬ思いを抱いたよしのですが、キスの瞬間に湧き起こった感情はそんな好意とは真逆の、男性への恐怖と嫌悪感だと気づいてしまいます。

 

第6話で旭君に手を掴まれた時もよしのに男性恐怖症の反応がありましたね。第2話での回想シーンにあったようにバアルがよしののトラウマに対処すべく就寝中は常に付き添いをしていましたが、やはりバアル以外の男性に対しては(例え好意を抱いている旭君であっても)嫌悪感を拭えなかったようです。

この事から鑑みるに、後々第14話でよしのがバアルと一旦別れる交渉をしていますが、結果的にバアル以外の相手と結婚して子供をもうける事は難しかったのかも知れません。

 

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例え旭君を傷つける事になっても自分との関わりを断ち切り、バアルの魔の手から旭君を守ろうと決意するよしの。バアルとの関係が叔父と姪の間柄ではない事、幼い頃には関係が無かったものの現在は一線を越えないとはいえ彼と身体の関係がある事、そんな歪な関係であってもよしのは彼を愛している事。旭君に説明をしながら、よしのは自身が今まで目を背けてきたバアルへの恋愛感情をはっきりと自認します。

 

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帰宅してすぐバアルの頬を叩き、旭君の件を問い詰めるよしの。始めはしらを切っていたバアルですが、すぐに怒りと嫉妬に満ちた悪魔の形相に変貌します。

よしのにとっては旭君と縁を切るための話し合いでしたが、その現場を見ていたバアルには二人のキスが何よりも許せなく、もはや旭君を生かしておく理由が無くなりました。

 

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旭君を殺すと決めたバアルに対し彼の命乞いを"お願い"しても聞き入れてもらえないよしのは、最後の切り札である自分の貞操を対価としてバアルに請います。愛する両親の死を経験したよしのにとっては、自分を心配してくれた善良で優しい旭君を自分のせいで死なせたくないという切実な思いからでしたが、バアルは今まで何があっても拒まれ続けたよしのの貞操が、旭君を守るために差し出された事に呆然自失とするしかありませんでした。

 

今回でようやくよしのがバアルへの想いを自覚しましたが、自分を決して愛することのない相手を愛してしまったがゆえの絶望は、見ているこちらまで苦しくなります。一方バアルはまだ自分の本当の気持ちに気づかぬまま、心に蓋をして冷酷無比な悪魔の顔でよしのと契約を交わすことになります。

 

以上、第11話での諸々ポイントでした。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第10話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第10話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

 

第10話はよしのが通う大学の芸術祭のお話です。旭君や周りの人間達の発言によってよしのやバアルの心境に変化が生まれ、徐々に互いの歯車が噛み合わなくなっていきます。 

 

よしのが通う美大はどうやら東京芸大(東京藝術大学)がモデルの様ですね。

ちなみにモデルとなった東京芸大は日本で唯一の国立芸術系単科大学で、芸術界でもエリート的存在とのこと。それゆえに入試の競争倍率も高く、学科によっては東京大学を上回る難易度で現役合格よりも浪人生の方が多いようです。国立大学のためセンター試験の成績も重要で、美術や音楽等の専門分野だけを勉強すればいいだけではなさそうですね。

 

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大学の芸術祭で模擬店の売り子をするよしのと旭君。

よしのの日本画科は「大観」という沖縄料理のお店のようですが、東京芸大の卒業生でもある有名な日本画家の横山大観の名が由来なのでしょうか。あるいは人名ではなく沖縄繋がりで幻の琉歌集と言われている「琉歌大観」という歌集が由来なのかも知れませんが、詳しくは分かりません。

一方旭君がいるデザイン科は「オソオセヨ」という韓国料理のお店ですね。オソオセヨは韓国語で「いらっしゃいませ」または「お帰りなさい」という意味らしいです。

なお芸術祭の開催時期ですが、東京芸大の藝祭を見る限りでは9月の第一週目辺りに開催されていますので、本作でも同時期だとイメージして読み進めます。

 

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優しい眼差しでよしのに声をかけ写真を撮るバアル。 周囲の目を気にしつつも、長年染み付いた癖でカメラを向けられると条件反射的にポーズを取ってしまうよしのが可愛いですね。そんな可愛い可愛いよしのの決定的瞬間を逃すまいと、連写で撮りまくるバアルは相変わらずのストーカー体質です(笑)

そんな仲睦まじい二人を訝しげに見つめる旭君、バアルはそんな旭君に見せつけるようによしのの頬を触ったり頭を撫でて旭君を牽制します。

 

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そんなバアルの保護者らしからぬ行動は、旭君以外の人物の目にも留まります。よしのの友人のあいりちゃんはサバサバ系女子の様ですが、二人の血縁関係を気にした上で全てを見通したような発言をします。あいりちゃん鋭い…というより、これだけ露骨な行動をしていればまあ察しはつきますよね。

 

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よしのは13歳の時に両親を交通事故で亡くしていますが、どうやらあいりちゃんも同年代の頃に母親が亡くなっていたようです。以後父子家庭で育ったあいりちゃんは自立心が強く、早く独り立ちして男手一つで苦労をかけた父親を安心させたいと語ります。似たような境遇にも関わらずバアルにべったり甘えて来た自分には想像もつかなかった「自立」という言葉。よしのは自分の今までの振る舞いを思い起こします。

 

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一方そんな娘のシフト終わりを待ちながら語らうあいりちゃんパパとバアルですが、男手一つという共通点に親近感を持ち、育児の苦労を一方的に語る彼の発言に徐々に気分を害します。

娘が父に依存せず自立できるのが正しい愛情であり、いつか誰かの元へ嫁ぐ事は寂しくても父親としての誇りだと言われ、自分とよしのとの歪な関係を真っ向から否定されたように感じたバアル。腹立ちまぎれに殺してやろうかと殺意が芽生えたその矢先によしのとあいりちゃんが待ち合わせ場所に現れたため、あいりちゃんパパは結果として難を逃れます。

 

バアルにとってよしの以外の人間は虫けら以下でしか無く、生殺与奪の力を持った悪魔としての傲慢な感情が垣間見えましたが、ここであいりちゃんパパが殺されなくて本当に良かったと思います。もし悲劇が起きていたら、そしてそれをよしのが知る羽目になったら…二人の幸せな家庭生活は実現しなかったでしょうから。

 

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学内を歩き回って疲れた足を休めるよしのと、それに付き添うバアル。よしのは意外と酒癖が悪いので(第9話参照)ビールはコップ一杯までと制限されてますね。ほろ酔いでビールをこぼしてしまったよしのに普段通り世話を焼こうとするバアルですが、自立を意識したよしのにそれを制されます。よしのの変化に焦りを抱いたバアルは、今までの周囲の人間の不快な発言を掻き消しよしのを繋ぎとめようと対価を求めます。

 

よしのが自立しようとするのを阻止するバアルの言動に「真の保護者としての愛情が無いのか」と違和感を覚える方もいるかも知れませんが…それはあくまでも今の日本で生活している一般庶民の感覚であり、時代や環境が違えば同じ人間であっても異なる価値観で生活する人は多く存在します。例えば、昔の王侯貴族であれば身の回りの世話は全て召使にさせるのが当然という風に。

一般的な親であれば当然子供が巣立つ事を前提とした教育やしつけを行うでしょうが、そもそもバアルはよしのの実の親でもない上に人間ですらありません。よしのを手放すという前提が無い以上、基本的なしつけや公序良俗を教えることはあっても自立心を養わせる必要は皆無だからです。

 

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今までになく強引に、かつ激しく対価を求めるバアルに戸惑いを隠せないよしの。バアルは対価の内容をエスカレートさせることで周りの雑音からよしのの目を背けさせようと必死ですが、バアル自身も気づかないうちに悪魔としての目的が変化している事が分かる重要なシーンと思われます。

かつての悪魔ベリアルにとって「目的」はよしのの身体と魂であり、過去の獲物達のように身体を手に入れれば後々心も手に入る、愛を知らない自分にとってよしのの心は不要な感情だとも言い放っています。(第2話参照)

けれど旭君やサタンなど周囲の存在によって自分とよしのの関係が崩されそうになり、それを誤魔化し現状維持しようとするうちにバアルの本心が少しずつ浮き彫りになってきました。『そのまま快楽に溺れて私に" 心 "を委ねろ』と切望するバアルの言葉から無意識の心のうちが伺えます。

 

以上、第10話での諸々ポイントでした。 

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第9話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第9話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

 

第9話はサタンとセーレが日本にいるバアルを訪ねてくる話です。よしのにとっては気さくで気前のいいおじさんという印象のサタンですが、果たしてその実態は…。また、バアルの真の姿が初めて明らかになります。

 

 

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よしのとバアルが自宅で寛いでいると上司のサタンと後輩のセーレが訪ねてきます。けれど人見知りのよしのは挨拶もそこそこに、じっと覗き込むようなサタンの視線に本能的な恐怖を感じバアルの背後に隠れてしまいます。

自分の視線に恐怖を感じた獲物がもう一体の捕食者であるベリアルに身を寄せる姿を見て、サタンがベリアルに抱いていた疑惑が確信へと変わります。

 

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ワンルームの部屋が狭いとこき下ろしながら勉強机の椅子にどっかり腰掛ける遠慮の無いサタンに、よしのはさらに警戒心剥き出しで威嚇します。そんなよしのの言動が目に余ると本気のお叱りモードに入るバアル、彼らを尻目に机上のアルバムを開いたサタンは二人の7年間に渡る生活を目の当たりにします。

 

話の随所に出てくるアルバム写真と一言コメントですが、いつも二人の生活感が溢れていて本当に微笑ましいです。中学生よしのの誕生日には一緒にプレゼントを買いに行ったり、お弁当にはよしのの大好きなハンバーグを手作りしてあげたり。高校生よしのは勉強が苦手で、テストは一夜漬けの末36点と酷い結果。成人よしのにはお祝いとして200万もする着物を対価無しでプレゼントしています。

勉強が苦手でギリギリまで手を付けないのは、後々第16話でも描かれていますね。

それと女性の読者なら想像つくと思いますが、成人式の振袖はレンタルで20万前後、購入でも40万前後が平均的な価格帯(きもの販売店調べ)なので、200万の振袖は最高級のランクですね。総絞りとか作家ものの手書き友禅かな。高いと愚痴りながらもよしのの晴れ姿には最高級品を貢いでしまうバアルがいじらしいです。

あとよしのの酒癖が悪いことが判明しましたね、これはちょっと意外です。酒乱エピソードの写真はこちらのラフ画にも描かれています。

 

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サタンがアルバムを広げている背後で、バアルの厳しい教育的指導を受けたよしのが泣きじゃくりながら反省の言葉を述べます。第1話にもありましたが、恐ろしい悪魔姿のバアルに怒られてもその手をしっかり握っているよしのの姿から、どれだけバアルを信頼しているかが伺えます。

 

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泣きながら謝罪するよしのを見て食事に出かけようと提案するサタン、食事を必要としない悪魔にとって思いもよらない発言にバアルとセーレは驚きます。

よしののリクエストでうなぎ屋を訪れた一行ですが、よしのと同じように箸を進め更にお手洗いにまで行くサタンの姿に戸惑う部下2名。そこまで人間の生態に沿った振る舞いをするのは並大抵のことではないようですね。

ちなみに「バアルの分は私が貰う」と言っていたよしのですが、その言葉どおり二人前のうな重を完食した模様。隣でバアルが引いてます(笑)

 

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美味しいうな重をご馳走になりすっかりサタンへの印象を良くしたよしのに対して、再度バアルのお小言が始まります。食いしん坊のよしのは胃袋さえ掴めば簡単に相手を信用する、バアル自身も美味しい手料理でよしのの心を掴んできましたしね。

「あの人はこの世で最も悪い人なんだからすぐ信用しない!このバカ娘!」と大事なよしのが悪い人に騙されないよう保護者モード全開で叱りつけるバアル。一方そんなベリアルの発言を襖の陰から聞くサタン、疑惑から確信へとつながる証拠は着々と集まっていきます。

 

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食事を終えた道すがら、サタンがよしのに「悪魔ではなく天使姿のベリアルを見たことがあるか」と尋ねます。サタン曰く、普段のベリアルの悪魔姿は化けている仮の姿なのだと。思いもよらないバアルの秘密に興味津々なよしのに対し、自身が忌み嫌う天使姿の秘密をばらされ抗議しようとするバアルですが、サタンの有無を言わさぬ迫力に押し黙ります。

そしてサタンはよしのに好きなアクセサリーを買うようにと現金を握らせ、セーレと二人でお店に向かわせます。余計な人払いを済ませたサタンはベリアルに対しやっと本題を突きつけます。

 

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よしのに対するベリアルの7年間の言動を見て「情を移すな」と釘をさすサタン。人間だけでなく悪魔でさえも、置かれた環境によって心境が変化し感化されることがあるのだと。

ここでのサタンの言葉はあくまでバアルに対する牽制ですが、後々のストーリーにおいての重要な伏線にもなっています。神から愛を与えられなかった無価値な堕天使が、無力な人間の少女と接して芽生えた感情。最初は持たざる者でも一生そのままではないという所に救いを感じます。

 

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天界一美しい天使姿でよしのを誘惑し身体と魂を奪えと言われたバアルは、自分には自分のやり方があるとサタンにうそぶきます。けれどサタンから見たベリアルの振る舞いはまるで父親ごっこだと言い、追及の手を緩めません。

ここでシリアスなシーンの最中ですが、アルバムの文言を見ると「喜んで手作りケーキを全てたいらげてしまった」とあります。よしの…どんだけ食いしん坊なの…。

 

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悪魔らしからぬベリアルに業を煮やして説得するうち、つい普段人間にするような悪魔の誘惑を行ってしまうサタン。対してバアルはお得意の涼しい作り笑顔でにこっとサタンをあしらいます。まさに天使のような悪魔の笑顔ですね(マッチ感)

続けて「父親ごっこをした分の絶望はどれほど美味か」と下卑た笑みを浮かべ舌なめずりをするベリアルを見て、自分の心配は取り越し苦労だったと語るサタン。そこにちょうどよしの達がアクセサリーを買って帰ってきたためお開きとなりますが、サタンはベリアルに疑念の目を向けたまま…。

 

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魔王から貰ったお小遣いで天使と十字架モチーフのアクセサリーを買ってしまう無知なよしの。買い物中にサタンとバアルの間でどんな会話がなされたのかなど知らぬが仏です。ちなみにセーレも契約者エリザベスにお土産を買ったようですが、第14話でエリザベスがつけているネックレスはこの時購入したものなのかな?

 

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サタンから教えられたバアルの本当の姿が見たいと"お願い"するよしの。渋々天使の姿に戻るバアルですが、よしのの反応はサタンの想像と真逆で素気ないものでした。

余談ですがここで勉強が苦手なはずのよしのから「受胎告知」の単語が出るとは思いませんでした。よしのの専攻は日本画科だったと思うけど、さすがは美大生ですね。

初めて見る天使姿のバアルに「神話っぽい」「女顔」「まつげ長い」等、好き勝手な感想を述べたよしの。その発言に傷つき怒ったバアルから仕返しとして「世にもおぞましい物」を見せつけられます。

 

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おぞましい物を見せられてショックを受けるよしのですが、それよりも今日初めて見たはずの天使姿に何か引っかかる様子。その記憶を辿ろうと再度見せてとお願いしますが、全裸なら見せるとバアルにはぐらかされてしまいます。

ここのセリフの掛け合いや、うなぎ屋を出た後に「聞いてない!見たい!」「言ってない、見せない」と言い合うシーンなど、バアルとよしのの息の合った感じが読んでいて小気味良いです。良い作品はキャラクターに魂が宿ると言われますが、こういうキャラの立ったセリフの応酬を見るとその通りだなと思います。

 

以上、第9話での諸々ポイントでした。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第8話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第8話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

 

第8話は海水浴回ですが、バアルとよしのが険悪な雰囲気になって互いに感情が高ぶったり…とちょっと重めの内容です。ただ普段はワイシャツ姿ばかりのバアルですが、珍しくカジュアルなTシャツとパーカー(と腹筋)姿を拝める貴重な回でもあります(笑)

 

始まりはよしの13歳の回想シーンから。 

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愛情深いけど能天気で大雑把な両親の性格(※)を引き継いだと思われるよしのですが、バアルとの生活では天真爛漫な振る舞いのそれらが素ではなく、物事の核心から目を背けていたのだという事が分かるシーンですね。

(※よしののしつけがなってない[第1話]他、赤ちゃんよしのが夜中泣き続けても目を覚まさない[第15話]、将来天才少女になるのではと楽観し、赤ちゃんよしのの好みではない知育玩具を買おうとする[第3巻:コミックシーモアおまけ3Pまんが]等のエピソードより推察)

 

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場面が変わり現在の海水浴場に。大学の友人達と来るはずが全員体調の都合でドタキャンになり、代わりにバアルと来る羽目になったよしの。けれどもバアルは周りに無数の女子を侍らせていてよしのは全く面白くありません。

イライラを募らせているよしのですが、八つ当たり気味に齧っている棒アイスもバアルに買ってこさせたもの。しかも希望していたアイスクリームじゃなかったと文句を言っていますが、自分でアイス一つ買いに行かない(行かせてもらえない?)のは相変わらずのお姫様っぷりですね。バアルが買い間違える気はしないから、もしかしてアイスクリームは売り切れだったのかも。

 

こういうエピソードで「よしのは自立してないから嫌い」と考える方もいるかも知れませんが…第2巻の特典ペーパー「この ねがいは、あくまに。」を見てもバアルがいかに過保護かが分かるので、よしのが自立する隙も与えられなかったと思えます。

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13歳のよしのが部活で毎日遅くなる事すら心配して学校にいちゃもんをつけるモンペ(笑)

さらによしのが自分以外に"お願い"するなど言語道断と、流れ星に嫉妬心を剥き出しにするバアルかわいいよバアル。

 

 

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おねーさん達と楽しそうにしているバアルを見て気持ちがささくれ立つよしの、さらに周囲を見渡せば楽しそうなカップルや親子連ればかりで、普段抑え込んでいた感情が溢れ出そうになります。その感情とはよしのの本当の望みである「結婚して家族を持ち、幸せな家庭を築くこと」ですが、バアルといる限りその願いは一生叶いません。

バアルのおかげで一見何不自由ない日常生活を送れているよしのですが、代わりに自分の一番欲しいものを奪われ籠の中の鳥として一生暮らさなければならない。

溢れそうな気持ちを抑えきれずバアルの元から離れるよしの。よしのに焼きもちを焼かせて気を引こうとしていたバアルですが、そのさじ加減を誤り失敗した事に気づきます。

 

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全く楽しめない今日と引き替え、以前両親と来た海は楽しかったとバアルに苛立ちをぶつけるよしの。そんなよしのに肉体と魂の契約をすれば両親を生き返らせることが出来る、よしのなら永遠の若さだって与えられると持ち掛けるバアルですが、人の理に反する願いは望まないとよしのはきっぱり断ります。

かつて数多の聖人君子をも堕落させてきたバアルの誘惑にもなびかないよしのの発言に、バアルも驚きを隠せません。

このシーンで、今まで甘ったれで我儘なイメージだったよしのの印象が変わります。美しい魂と心は比例しないと以前バアルは言っていましたが、それでもよしのは魂だけでなく強く美しい心を持った人間であることが伺えます。

 

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久しぶりの海を全く楽しめず、早々に家路を急ぐよしの。途中でショーウィンドウに飾られたウエディングドレスを見つめるよしのにバアルは顔をしかめます。バアルにとって結婚という行為自体が忌むべき不快なものであり、よしのに触れさせたくない話題でもあるからでしょう。

ちなみにこういったバアルのウエディングドレス・結婚に対する態度を踏まえたうえで第21話の最終ページを見直すと、これだけ拒否反応を示していたバアルがあんな台詞を言うなんて…と感慨深いものがあります。

 

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借り物を返そうとよしのの自宅前で待ち構えていた旭君と、それを牽制するバアル。このシーンは完全にシリアスでおそらく笑いの要素は込められていないと思うのですが…バアルが旭君に言い放った「ストーカーみたいで怖い」の発言が「いやそれあんたが常々よしのに言われてるセリフだろ!」と突っ込まずにはいられませんでした…w

 

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すっかり険悪な空気になってしまったよしののご機嫌を取るため、ケーキの箱を差し出すバアル。第7話でも少し描かれていましたが、甘い物でよしのを釣る方法をバアルは心得ていますね。

ちなみにこのケーキはタカノフルーツパーラーで有名な新宿高野いちごショート(税込648円)のようです。

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よしのが自分だけ歳を取る将来を憂いた発言に対して「安心してお年を召してください」と真顔でとんでもない発言を返すバアル。ここは意図的なコメディシーンなので安心して笑えます。すごい、逆になんかすごいです(笑)

そして大好きなケーキを貰い、来年こそは楽しい思い出を作るからまた海に行こうと言われてようやく機嫌を直すよしの。

やっと険悪な雰囲気も無くなりまたいつもの日常に戻ったように見えますが、それでも互いの心の奥底に蓋した感情を忘れることはできませんでした。バアルはよしのの幸せを願う周囲の人間達の声について、よしのは叶うことのない本当の願いについて思いを馳せつつ夜は更けていきます。

 

以上、第8話での諸々ポイントでした。次回はまた理想の上司が登場ですね。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第7話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第7話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

第7話は夏祭りのお話です。艶っぽい浴衣姿にドキッとしたり、悪魔の禍々しい本性に違う意味でドキッとさせられる回ですね。

 

 

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よしのの両親のためにお盆の迎え火を焚く二人。余談ですがこの後8話で海水浴に行くということは、今は8月の旧盆ではなく7月の新盆ということでしょうか。(8月の旧盆以降は海にクラゲが多く発生するため海水浴に向かないという俗説から推測)

新盆を行う地域には東京の一部も含まれるらしいので、私の脳内では現在が7月だということで読み進めていきます。他の作品ではここまで季節や時系列を気にすることはありませんが、異端の場合は細かい描写が暗示する事も多いため取りこぼしの無いよう意識しています。

 

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着付けの本を見ながらよしのに浴衣を着せるバアル。育児書や料理本など、バアルは書物から知識を得る描写が多いですよね。スマホでメールや動画も使いこなしてるけど、情報を得る時はネットより書物からというのがバアルのポリシーみたいです。まあ、バアルが某掲示板に張り付いてたりしたら嫌ですけどね(笑)

 

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対価無しのお祭りを満喫しているよしの。目をキラキラさせて食いしん坊っぷりが可愛いです。好きなものを好きなだけどうぞとのことでしたが、悩んだ末に

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わたあめ、りんごあめ、いかやき、焼きそばを食べたようですね。小柄なよしのの胃袋の一体どこに収まるんだろうか…。

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よしのが縁日の屋台選びに浮かれている一方で着々と真の目的遂行に動くバアル。普段はしない恋人繋ぎで手を握り、お小言やセクハラ発言もしないバアルの立ち居振る舞いに、よしのもつい心を奪われそうになります。

でも今回の目的はよしのではなく、旭君に二人が只ならぬ関係だと見せつけるため。森山先生のインタビューにも書かれていましたが「捕食者と被食者という関係で、甘くなりすぎないように」読者に釘を刺しているようです。大事な大事なよしのも時には自分の目的のために単なる駒として動かす、まさに悪魔の所業ですね。

 

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結果バアルの思い通りに事は運びましたが、よしのも普段と違うバアルの振る舞いに心の奥底で疑念を覚えます。こういう小さな積み重ねが、後々の疑心暗鬼に繋がるのが見ていて辛いところです。

  

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昨日のお祭りの夢を見て、いつものように食い意地の張った寝言をいうよしのに優しく微笑むバアル。けれど娘の開放を願うよしのの両親の霊体に対しては、悪魔の本性剥き出しで威嚇します。

 

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バアルの後ろ姿から徐々に悪魔の羽と尻尾のもやが出るシーン、人間体から恐ろしい悪魔姿に変貌しつつも寝ているよしのの頭にそっと手を添える3コマ目が印象深いです。

よしのに対する恐ろしいまでの執着(無自覚の愛)と、それを邪魔する者たちへの強い怒りと不快感の対比が美しくも禍々しく描かれてると思います。

 

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よしのの両親を追い返し、一人アルバムを見返すバアル。14歳と1ヶ月ということは(よしのの誕生日が4月だと推測して)ゴールデンウィークに遊園地へ行ったんでしょうかね。よしのの泣き顔+鼻水の描写もよく出てきます。

乗り物酔いで泣きべそをかいても甘い物を与えられればご機嫌が直る、バアルがこういうよしののあやし方を把握しているエピソードは後々にも登場しますね。

 

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昨晩この部屋で起こったことなど何も知らないよしのが目覚め、いつもの日常がまた始まります。豪華な朝食と「クーラーつけて」の一言で、本当に甘やかされてるんだなぁとしみじみ感じます(笑)

あれだけ忌々しげによしのの両親を追い払ったバアルですが、それでも両親がよしのに宛てた言葉はきちんと伝えてあげる辺りが好感持てますね。そんな裏事情を知らないよしのからはキレられてますが。

 

以上、第7話での諸々ポイントでした。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第6話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第6話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

第6話は皆さんお待ちかね(?)の上司サタンが登場です。ちなみに森山先生曰くサタンは理想の上司像らしいです。

 

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今回、上司サタンからの呼び出しで3日間程よしのの元を離れるバアル。魔王を上司と言っているのは物の例えなのか、はたまた実際に魔界も会社組織として運営されているのか…。

まあ悪魔や天使の世界も時代に合わせて変化しているようなので(例えばラファエルの服装の違い)かつては魔導書の中で王や君主、伯爵なんて位だった悪魔達も現代に即して社長や重役扱いの流れになったのかも知れません。

ちなみにベリアルはかつてソロモン王が使役した72体の悪魔の一人であり、その中の階級では最も位の高い王の地位にあったようです。後々よしのに「下っ端悪魔だと思ってた」と言われてますが、そんなに高位で強大な力をもつ悪魔だとは私も知りませんでした。

 

そして長距離移動の承諾のため、契約書に追加のサインをするよしの。今回初めてサインをしたということは、13歳の契約時から7年間ずっとバアルはよしのの側につきっきりだったということですね。修学旅行もストーキングしてたし。

 

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そんな不在時によしのの魂が狙われないようお守りを渡すバアル。お守りにはバアルの匂いを発するアレコレ()が含まれているようです。(森山先生曰く真っ赤な血赤珊瑚ではなくピンク色の珊瑚とのこと)

 

そしてバアルの代わりによしのの身を守る大事なお守りですが、その成分のせいでよしのから酷い扱いを受けてます(笑)

 

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20歳にして初めてのお留守番をするよしのに3日分のごはんを用意するバアル。細かくレンジの時間までメモしてありますが…過保護が過ぎるわ!(笑)

そんな世話焼きおかんモードも封印し、3日間の休暇で久々に悪魔らしく羽目を外し悪徳の限りを尽くそうと計画するバアル。よしのが知らないバアルの悪魔本来の一面を聞かされ、戸惑いと一人取り残された寂しさに気落ちします。

私達も自分の身近な家族を家にいるオフの姿しか知らず、外での姿は赤の他人の方がよく知っているものだったりしますしね。

 

 

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上司サタンや後輩セーレと久々に再会し、自身の近況報告でドヤァとよしのの写真を見せるバアル。サタンですら感嘆するほど美魂(びじん)なよしのを見せびらかしたいけど、そんな極上の獲物を味見させろと言われた途端サッとスマホを取り上げるバアルの姿が、何度見ても萌えます。上司である魔王サタンには従順なバアルですが、そんなサタン相手でもよしのの事だけはキッパリと断る姿が堪りません。

 

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そんな"獲物"の寝姿を動画で見せつけ、ニヤケ顔が抑えられないバアルの姿にドン引きする二人。無慈悲で悪辣な悪魔であるベリアルがこんな親バカ全開のアットホームな動画で喜んでたら、様子がおかしい事ぐらいバレバレです。

知的なバアルなら本来は上司の報告に相応しい言動を取れただろうに、よしのとの長い同居生活で悪魔としての本質を見失い、見失ったという自覚すら無いことが露呈してしまいましたね。

 

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バアルがよしのに現を抜かす一方でセーレは契約者エリザベスに悩まされている様子。そしてそんな様々な問題を抱えた部下の面倒を見るサタン、さすが理想の上司です。

ちなみにセーレとエリザベスの裏設定については

エリザベスは日本のアニメ(ショタやBL等)が好きな腐女子で、セーレが美少年なのもエリザベスの趣味だそうです。ここまでキャラの立ったエリザベスに必死で尽くすなんて、魂はよほど綺麗なんだろうか…。

 

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『結婚なんてクソ』同盟を結んだ悪魔ベルフェゴールが元上司の大天使ラファエルに狩られ大けがを負ったと聞き、怒りをあらわにするバアル。

このベルフェゴール、好色や怠惰を司る悪魔なのですが一説では女性の姿をしているらしく、今後バアルとよしのの関係に波紋を巻き起こさないことを祈ります…。

 

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結婚つながりで、バアルと犬猿の仲アスモデウスの話題に。人間の女と結婚して子供までもうけたと聞いて嫌悪感を露わにするバアル。

アスモデウスは色欲を司る悪魔らしいのですが「昔人間の女に恋して惨敗を~」のエピソードはトビト記に書かれているようです。この時に添い遂げられなかったサラの生まれ変わり?が現在の奥さんなのかな?

 

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一方日本にて、バアルの不在にさびしさを募らせるよしの。魔女とサバトを行っていることに対しての嫉妬心も湧き起こります。

バアルとよしのは「対価を払い報酬を得るだけの関係」と今まで考えていたはずですが、長い沈黙の後出た答えはそんな割り切った間柄ではなく「保護者」なのだと。しかし今抱いている嫉妬心なら保護者とは別の間柄が適切に思いますが、まだ気持ちに蓋をしているよしのにとってはこれが精一杯の表現なのでしょうね。

 

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さびしさと嫉妬心から、本名であるベリアルの名を叫び召喚するよしの。ジト目で睨み羽根をむしり暴言を吐くよしのにうろたえるバアルが、理不尽で可哀そうながら笑えます。

よしのの暴挙を止めるため手を握るバアル。旭君や他の人間の男達に触れられた時の嫌悪感が、バアルには起きない事によしのは気づきます。けれどもバアルは悪魔であり、数多の女を犯し殺してきた穢れた手の持ち主であるのだと自分に言い聞かせるよしの。

バアルもまた、サタンから聞いた同僚の結婚話をよしのに語りながら、人間とは下等な存在であり結婚など愚かで忌むべきことだと自分に言い聞かせます。

 

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このシーン、お互いに頭の中では相手を求めてはいけないと釘を刺しつつも互いの手をギュッと握り合っているのが、二人の理性と本能の矛盾を上手く表現していてせつなく感じました。

あと全くの余談ですが、バアルがベッドに入る時はちゃんとパジャマに着替えてるのが几帳面さが表れてて好きです(笑)やっぱり魔力で着替えてるんだろうか。メガネ無しの人間体姿もカコイイ。

 

以上、第6話での諸々ポイントでした。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第5話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第5話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

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第5話はよしのが研修旅行で東北の温泉地に行きます。森山先生待望の温泉回とのことでテンション上がりまくり、ツイッターの告知の日付すら間違えてます。落ち着け(笑)

 

 

 

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一週間の研修旅行、寝台車で東北の温泉地へ行くよしの。

ただ近年では寝台列車が不採算のため軒並み廃止になったと聞いた記憶があり、少し調べてみましたが…東北だと青森行きのカシオペアかな?でも2016年3月には定期運行を終えており、それ以降は不定期で団体旅行者向けのツアー運行に限られているようです。

近年は安価な移動手段なら夜行バスがメインとなり寝台列車は中高齢富裕層向けのゆとりある豪華なプランで差別化を図っているので、学生さんの旅行であれば日中の新幹線か夜行バスの方が現実的なのかもしれませんが…まあいいでしょう(ラファエル口調で)

 

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人見知りのよしのは 旅行の楽しみよりも他人と寝起きを共にしなくてはいけない不安からネガティブに。これだけ神経質なよしのですが、バアルとは7年間一つ屋根の下で寝起きを共にしてるんですよね。バアルが側にいて当たり前、バアルと一緒が日常の空気感。

そんなバアルとも一週間離ればなれになる寂しさをボソッとつぶやくよしのに、保護者モード全開でだっこを呼びかけるバアル。でも、いつもならなんだかんだ言って喜ぶはずのよしのが素っ気ない、そんなよしのの態度の違いをバアルは気にかけます。

 

バアルのよしの愛は

 ①保護者(父、母、兄等)としての庇護欲、家族愛

 ②恋人(ストーカー含む)としての好意、独占欲、嫉妬、情欲

 ③悪魔としての執着、独占欲、情欲、(魂への)食欲

ざっと挙げても以上のような、複数の感情がないまぜになっていると思います。前回の第4話で②や③の感情がすれ違いよしのとギクシャクしつつも、日常的に①の愛情がベースとしてよしのに注がれているのが見ていて切ないです。

 

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宿泊先の温泉で、ひとり物思いにふけるよしのの前に姿を現すバアル。よしのを見守るために魔力で女性に変装し、豊富な財力で全行程の宿泊先を押さえるその熱意と行動力はストーカーの鏡(笑)

そもそも今回だけでなく、中学や高校の修学旅行も同様に尾行していたと白状するバアル。この辺りの詳細については今後[ハレム]この愛は、異端。 ?ベリアル文書? 第1話で続きが読めるはずなので楽しみですね。

そして非日常のシチュエーションでいちゃついて二人の関係を回復させたいとぶっちゃけるバアル。元々きわどい会話もぶっちゃけるあけすけなバアルですが、そこはさすがに隠しなさいよと(笑)

 

ただ、普段通りの下品な下ネタを繰り出すバアルが実は前回の拒絶で傷ついていることに気づいたよしのは、旭君への淡い気持ちを捨て対価の続きを受け入れます。私はここからの一連のシーンで、以下の

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バアルの切ない表情とよしのの震える手、ここから更に

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対価の終わり際、名残惜しそうに再度お互いを求めるこのシーン(特に2コマ目)が最も官能的で切なく感じました。

よしのも決してバアルを嫌って拒絶したわけではなく、むしろ旭君の事が脳裏から消えてしまう程バアルに溺れてしまうのが怖かったから。契約の対価という無機質な名目で双方自分の気持ちに蓋をしながら、それでも本能的に互いを求め合うその表情がグッときます。

 

以上、第5話での諸々ポイントでした。次回は皆大好き、あの上司がいよいよ登場ですね!