まろやんの徒然猫草

草紙といえる程のものでも無い道端の猫草ですが、その時々の興味があることを書き連ねていきます。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第11話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第11話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 2 (ヤングアニマルコミックス)

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第11話。10月になって大学の後期授業も始まりましたが、ここ数か月の旭君の異常なやつれぶりの原因をようやくよしのが知るところとなります。怒り心頭のよしのはバアルにそのことを問い詰めますが…。

 

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芸術祭以降どんどん対価がエスカレートしていくバアルは、強くよしのを求めるあまり魂無しの貞操のみで何でも願いを叶えるとまで譲歩します。それでもよしのは決して首を縦に振らず、その頑なな態度にバアルは苦悶の表情を浮かべます。

(無自覚とはいえ)惚れた弱みでバアルは大きく値引きしてきましたね…ここで対価のディスカウントが生じたことは、この後のストーリー進行上大事な転換点かも知れません。仮に値引き無しで今回の話が進んだ場合、よしのにとって魂が奪われるリスクと恐怖がある限りは話の筋がぼやけそうですし。

 

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大学の後期授業が始まり旭君と再会したよしの。けれど芸術祭の時以上に痩せ細った旭君を見て、よしのや彼の友人達もその異常さに戸惑います。そんな旭君を心配する友人の発言で自分とバアルがその原因なのだと気づいたよしのは、空き教室に二人きりで旭君から詳細を聞き出します。

ここで旭君に思いを寄せるボブカットの女子が登場です。旭君は話の流れ上当て馬キャラとして非常に辛い思いをしているので、この後彼が彼女と幸せになるのがせめてもの救いですね。

 

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バアルがよしのに性的虐待をしていたのではないかと、長い間旭君が悩み続けていたことを聞かされたよしの。悪夢にうなされ身をやつしながらも純粋によしのの事を心配し続けてくれた旭君に対し、死んだ両親以外でここまで親身になってくれた他人はいなかったとよしのは涙します。

その涙に引き寄せられるようによしのを抱きしめ思わずキスをする旭君。彼のような優しい人が自分の恋人だったらどんなに良かったかと叶わぬ思いを抱いたよしのですが、キスの瞬間に湧き起こった感情はそんな好意とは真逆の、男性への恐怖と嫌悪感だと気づいてしまいます。

 

第6話で旭君に手を掴まれた時もよしのに男性恐怖症の反応がありましたね。第2話での回想シーンにあったようにバアルがよしののトラウマに対処すべく就寝中は常に付き添いをしていましたが、やはりバアル以外の男性に対しては(例え好意を抱いている旭君であっても)嫌悪感を拭えなかったようです。

この事から鑑みるに、後々第14話でよしのがバアルと一旦別れる交渉をしていますが、結果的にバアル以外の相手と結婚して子供をもうける事は難しかったのかも知れません。

 

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例え旭君を傷つける事になっても自分との関わりを断ち切り、バアルの魔の手から旭君を守ろうと決意するよしの。バアルとの関係が叔父と姪の間柄ではない事、幼い頃には関係が無かったものの現在は一線を越えないとはいえ彼と身体の関係がある事、そんな歪な関係であってもよしのは彼を愛している事。旭君に説明をしながら、よしのは自身が今まで目を背けてきたバアルへの恋愛感情をはっきりと自認します。

 

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帰宅してすぐバアルの頬を叩き、旭君の件を問い詰めるよしの。始めはしらを切っていたバアルですが、すぐに怒りと嫉妬に満ちた悪魔の形相に変貌します。

よしのにとっては旭君と縁を切るための話し合いでしたが、その現場を見ていたバアルには二人のキスが何よりも許せなく、もはや旭君を生かしておく理由が無くなりました。

 

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旭君を殺すと決めたバアルに対し彼の命乞いを"お願い"しても聞き入れてもらえないよしのは、最後の切り札である自分の貞操を対価としてバアルに請います。愛する両親の死を経験したよしのにとっては、自分を心配してくれた善良で優しい旭君を自分のせいで死なせたくないという切実な思いからでしたが、バアルは今まで何があっても拒まれ続けたよしのの貞操が、旭君を守るために差し出された事に呆然自失とするしかありませんでした。

 

今回でようやくよしのがバアルへの想いを自覚しましたが、自分を決して愛することのない相手を愛してしまったがゆえの絶望は、見ているこちらまで苦しくなります。一方バアルはまだ自分の本当の気持ちに気づかぬまま、心に蓋をして冷酷無比な悪魔の顔でよしのと契約を交わすことになります。

 

以上、第11話での諸々ポイントでした。