まろやんの徒然猫草

草紙といえる程のものでも無い道端の猫草ですが、その時々の興味があることを書き連ねていきます。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第4話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第4話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

まだまだ旭君回が続きますね。バアル派の私には辛いところです…。

 

旭君からの猛アプローチで急接近する二人。バアルとは正反対のさわやかで誠実な旭君の人柄に、男性恐怖症(バアル除く)だったよしのも好意を抱いていきます。

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好きな男の子の名字を自分に当てはめて妄想するシーン、女子ならだれでも一度はこういう想像したことありますよね。森山先生はこういう細かな心情を描くのがとても上手だと思います。

森山先生はご自身の性別などプライベートな事を明かさない方針とのことですが、作品を読み返すたびに「こういう心理描写は女性ならでは」「いや、やっぱりここは男性ぽいな」と、どちらの性別にもあてはまるような気がしてきて不思議です。

それほどまでに観察力や洞察力が鋭く、細やかな感性ゆえの表現力なのでしょうね。

 

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バールのようなもの(笑)あとあと芸祭であいりちゃんパパにも同じ事言われてましたねw

 

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愛や恋という感情を「くだらない」とこき下ろすバアル。「一時的に錯乱して気分が~」と醒めた目で分析してますが、数多の天使の中で唯一人自分だけ神から与えられなかった感情に強い劣等感を抱きつつ、自身が持たざるそれを何とか理解しようと書物や文献等で探し求めた答えなのかな、と思うと心が痛みます…。

そして男性に全く耐性のないよしのに対して「男の本質」を説くものの、世間知らずの箱入り娘にはその声は全く届きません。むしろここまでさらけ出すバアルこそ正直者だと思いますけどね。

 

 

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話をするうちによしのが7年間ずっと堕天使の意味を知らなかった事に気づき、愕然とするバアル。

…すいません、私も堕天使の意味全く分かってませんでした(笑)でも日本人だとゲームや小説等で触れる機会でもないと、知らない人の方が多いんじゃないかなぁ…(言い訳)

 

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何を説いても旭君への好意が揺るがないよしのに苛立ちを覚えるバアル。よしのの気を自分に向けさせようと強引に対価を求めるも、第3話の時よりも本気の拒絶をされ深いショックを受けます。

このシーンはまさに「飼い犬に手を噛まれる」という感じで、思いもよらない拒絶に呆然自失で硬直→徐々に状況を理解し抑えきれない怒りで悪魔化するコマの変化が、バアルの心情を的確に表現していて読むたびに心が痛みます。

 

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怒りと嫉妬で完全に悪魔化したバアル。今宵自分はよしのの側には寄り添わない、そんな時にあえて丁寧で小洒落た芝居がかった別れの挨拶「良い夜を」という言葉を使っているように思います。慇懃無礼というか他人行儀というか…普段のやさしい「はい、おやすみなさい」とは違う、丁寧ながら距離感を感じる言葉です。

バアルが本心を隠したい時「にこっ」と涼しい作り笑顔をするのと通じるものがあるようにも感じます。

 

以上、第4話での諸々ポイントでした。

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第3話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第3話~

※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

第3話、バアルに突き放され深く傷ついたよしのが、旭君に出会い彼の優しさに惹かれていきます。ですがバアルに肩入れする私にとって旭君の場面はいつも読み飛ばし気味…(笑)

 

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バアルがまるで親のように自分に優しくしてくれた過去を回想するよしの。7年にも渡る日常の慣れ合いでついつい心から信頼してしまいそうになるけど、あくまでバアルとよしのの関係は捕食者とその餌でしかない…。

…という初見時のストーリー説明は置いておいて、改めて読み返すとバアルの深いよしの愛を感じる場面ですね。お金持ちだけどあえて12畳のワンルームなのはバアルに慣れさせる為でもあるけど、PTSDに苦しむよしのにすぐ寄り添い不安と恐怖を取り除いてあげるため。こうしたバアルの献身的なケアのおかげで、成長したよしのはもはやPTSDに悩まされる様子は見受けられません。(むしろ食い意地の張った寝言を言うぐらい、いつもすやすや眠ってますね)

ただ、よしのにここまで心の傷を負わせるような親戚たちの行動をバアルがもっと未然に防げなかったのか、その点が少し引っかかりました。でも改めて考えなおすと時系列的には、よしのを狙った山神と命がけで戦いボロクソになった状態(全治半年位?)のすぐ後だと思うので、そんな半死の状態ではバアルも本来の力を出し切れなかったのかな…という気もします。

 

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旭君との楽しい会話にて。体に悪い店屋物じゃなく毎日心のこもった美味しい手作りの食事が食卓に並んでいる事の有難さ、まだこの頃のよしのは理解できていませんね。

でもこういう親の心子知らずなエピソード、よしのだけじゃなくほとんどの方が経験している事だと思います。離れてみて初めて分かる、親の有難み。

 

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全編を通して感じられるバアルのよしの愛の中でも、私は特に料理に関するエピソードが好きです。同居を始めた直後、さすがのバアルも料理までは作れない…と難色を示していても、ひもじい思いをしているよしのを見て庇護欲が掻き立てられ一所懸命に料理を作り出す。しかもたったの一週間で美味しい料理にまで仕上げる、このバアルの姿が本当にいじらしいです。だって自分自身は全く食事を必要としないのに。

まあ、よしのも13歳なら自分で料理ぐらい作りなさいよ…と思う方もいると思いますが、かつては両親に甘やかされ(お米を洗剤で洗おうとするほど、お手伝いなどしてこなかったし)そしてバアルにも甘やかされていては、中々自立心も育たなかったでしょうからね。

 

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旭君と楽しく会話をしていたよしのの前に現れるバアル。表向きは保護者としての立ち位置だけど、旭君に向けるその表情は恋人を取られた男の目…。 森山先生のツイッターでは、本編中で旭君と別れた後の二人の会話が別視点で描かれていますね。 普段通り平静を装いながらも旭君の事について色々探りを入れるバアル、保護者の立場としての過保護さに加えて恋人としての嫉妬心が芽生えて来たという感じでしょうか。

 

以上、第3話とそれに関連するおまけマンガの諸々ポイントでした。次回もまだ旭君の登場が続きますね(辛い)

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第2話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第2話~

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この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

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森山先生のツイッターを遡ると連載時の宣伝でおまけイラストがあるのが嬉しいです。各話とリンクした内容なのでこちらも見逃さないようにチェックしておきたいですね。

バアルの「仕事」内容などつゆ知らず、黒毛和牛の特上肩ロースのすき焼きを堪能するよしの。追加の卵ですらバアルに持ってこさせようとする辺り、よしのが本当に甘やかされてるのが伺えます。

そして先生のツイートにもあるように、第2話はかなり過激でインパクトの強い回でした。

こちらのインタビューにも書かれているように、当初は4巻程の構想だったのが連載開始時には2巻まで圧縮する方針になったものの、やはりストーリーの展開上3巻まで延ばしてもらったという誕生秘話があったようですね。

打ち切りや巻数圧縮での消化不良という結果にならなくて本当に良かったです。

 

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モデル体型のイケメンメガネに変身したバアル、よしのにとっては「いけめん過ぎてきんちょーする」から不評なんですね。それと13歳から見た29歳が「おっさん」という感覚、確かに10代前半から見た20代後半はそうでしたよね(遠い目)

ちなみにバアルの身長は人間体で約185cm 、本体で約2m、よしのは約154cmの設定らしいです。

 

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そんなよしのに好意を抱く大学の同級生、旭君。彼の外見はよしのにとってちょうどタイプの様ですが「恋に恋する乙女」状態のよしのはまだ彼の気持ちに気づいていませんね。

この当て馬旭君は後のバアルとよしのの関係を大きく左右するキーパーソンですが、全編を通してバアルに一番肩入れしてしまう私にとって、旭君が出る場面はどうしても辛くて読み飛ばし気味になってしまいます(笑)

 

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バアルが撮りためたアルバムを見返すよしの。この写真は深夜アニメを撮ってもらえなくて泣き喚いた、となってますが没設定のラフ時点では全く違うシチュエーションだったようですね。よしのを大事に大事に扱うバアルとして、18歳で線引きした現在の設定に軌道修正されて良かったです。

 

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絵を描くのが得意なよしのですが、その反面運動は苦手なようですね。そしておにぎりを4つも…ちょいちょい出てくるよしのの食いしん坊設定も好きです。でもどれだけ食べても太らないのはバアルの和食中心で健康的な料理のおかげか、あるいは脂肪が全部胸に蓄えられてるのか…。

 

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よしのに「仕事」の内容を問われ、涼しい作り笑顔でごまかすバアル。 本心を隠す「にこっ」はこの後も度々出てきますね。「仕事」の最中でもよしのからの電話に平然と対応したり(あまつさえ、高級和牛と引き換えに聞きたい台詞を要求したり…)うろたえたり動揺する様子が全くない辺りがとても悪魔らしいです。この時点では。

 

以上、第2話での諸々ポイントでした。

 

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) 第1話

漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~第1話~

 ※既読者向けの内容になりますので、未読の方は是非作品を先にご覧ください。 

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

この愛は、異端。 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

第1話、私もそうですがネットのバナー広告で目にした方も多いのかもしれません。

私が異端に出会ったのは12月の上旬ですが、第3巻が11/29発売だったためその前後からネット漫画サイト各社で販促キャンペーンがあったと思われます。

普段は邪険にしていたバナー広告ですが、おかげで現時点での人生ドはまり作品のトップ5に入る異端と出会わせてくれたことに心から感謝します…!

そんな記念すべき第1話の1ページ、私は電子書籍で読んだのでモノクロでしたが雑誌掲載時はカラーだったんですね。作者の森山先生がツイッターで公開してくださっているのが有難いです。

読み返しているうちに気が付いたけど、よしのに出会う前のベリアルは丁寧語じゃなく、高位の悪魔らしい威圧感のある口調ですよね。これが本来の彼の口調、この言葉遣いの差に注意して読み進めていくとより彼の心情に近づける気がします。

 

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そして20年後の現在、指差しポーズの対比がいいですね。漫画の技法とか全く詳しくないんですが、こういうカットが映画のワンシーンの様で素敵です。(映画の技法も詳しくないですが…)

 

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そしてこの「……56P!」。序盤からシリアスな展開が続いてきた中にそっと仕込まれた、一話目初の記念すべきコミカルなシーンですね。私は無料漫画でこの一連のシーンを見て購入を決意しました(笑)

 

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よしのの涙に「…!」と反応するベリアル。初見で読み進めた時にはまさかこんなシーンが伏線だったとは思いもよりませんでした…。あと一晩中泣いて次の日の夕方まで24時間近く泣き続けたよしのと、その相手をし続けたバアルもすごいw そりゃ鼻水も垂れますわ…。

 

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恐怖の余り失禁と嘔吐したよしのをおんぶして帰るバアル。初見の時は「悪魔だから汚いとかって感覚が無いのかな?」位に思ったけど、いやはやこういう行動の一つ一つがもう愛ですよね…。

あとベリアルを略してバアル、果たして略称になっているのか謎ですが(笑)ほかにバアルという名前の悪魔がいるならば、後々魔界でややこしい事になりそうな気もしますね。

それとバアルが法律に詳しいという話、wikipediaでのベリアルの項にも書かれていました。私の悪魔や天使に対する知識はよしのといい勝負なので、異端を読みながらあれこれ検索しています。

(よしのの負の遺産相続は相続放棄すれば問題なかった?これもまた、私の法律知識が無いので良く分かりません…。まあバアルが全部片づけてくれて良かったですw

 

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甘えるよしのをだっこしてポンポンのシーン。後々第15話でこの伏線を回収したらもう…何度読み返してもここで胸がギュッと締め付けられます。

そして反抗期のよしのに教育的指導をするバアル。第9話でもそうですが、怒られてるよしのがバアルの手を握っているのが印象的です。悪魔の姿で怒られ怖くて泣いても、それでもバアルを保護者として絶対的に信頼してるよしのの心の奥底がうかがえます。

 

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よしのの高校入学式で勝負スーツ姿のバアル。やはりここはスリーピース!この時はよしのも(多分)喜んでたよ!バアル良かったね!

※バアルのスーツネタについては <この愛は、異端。【Renta!限定おまけ付き】 3に掲載されている1P漫画をご覧ください。ちなみに私は各社電子書籍の限定漫画が読みたくて、楽天Kobo・Renta!・コミックシーモアの3社分を購入しました…。(楽天は限定おまけ無しと知らずに一番最初に購入した分です)

 

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部屋では本を読むシーンが多いバアルですが、近代的なスマホもきちんと使いこなしてますね。毎日のように「遅くなるならメールをしなさい」のログがあるのが微笑ましいです。

そして4月25日の時点で愛撫ありの対価ということは、よしのの誕生日は4月24日以前なのかな?

 

以上、第1話で特に気になったポイントを挙げましたが、今後また新たに追加するかも知れません。というか本当は全ページ全コマにコメントしたい位です(笑)

 

この愛は、異端。 感想・考察(ネタバレ有り) はじめに

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漫画『この愛は、異端。』感想・考察(ネタバレ有り) ~はじめに~

  

私がこの作品(「この愛は、異端。」以下「異端」と略します)に出会ったのは今から一か月程前、ネットのバナー広告からでした。 

普段は漫画サイトのリンクを踏んでまで続きを見ることはほとんど無いのに、この時に限っては吸い寄せられるように無料ページを読み、そのまま電子書籍を即購入しました。

 漫画に限らず小説やドラマ・映画等でもここまでのめり込める作品には久しく触れていなかったので、年を経て萎びた自分の感性が瑞々しく蘇った事にも驚きつつ、毎日のように読み返しています。

(いや、誇張抜きでホントに毎日…自分でもちょっと引くぐらいですw)

 

その「異端」とは一体どんな作品なのか、私のつたない文章で書き連ねるよりもダヴィンチニュースさんの分かりやすい記事をご覧ください。

現在1~3巻まで発売されており、3巻で第一部完となっているので無理なく読み進められます。 

掲載紙は男性向け雑誌らしく内容もちょっときわどい描写が含まれるので未成年にはお勧め出来ませんが、成人男性向けという訳ではなくむしろ女性のファンが多いようにも思えます。

そして読めば分かると思うのですが、ここまでの内容がたったの3巻に纏められているなんて…本当に密度が濃い!濃密過ぎて3巻じゃもったいない位に感じます…。

 

絵柄についても緻密で美しいという感想を多く見ますが、私は正直なところ最初はこの絵柄があまり好みではありませんでした…。ですが「異端」のストーリーや心理描写、世界観に引き込まれて今では絵柄も含めてすっかり虜になってしまったので、私と同じように初見では絵柄に抵抗がある人にも是非読んで頂きたいと、強く思います。

 

そしてこの熟成された豊潤で濃厚な美酒のごとき「異端」、何度読み返しても味が出てくる所謂「スルメ」作品なので、私が読んで気づいた事やツボにハマったポイント等をこれから書き連ねていきたいと思います。(「異端」愛が溢れてますw)